2019年1月2日
ニュース
タバコが悪影響を及ぼすのは、喫煙者やその周囲の人々の健康だけではありません。忘れがちですが、困ったことに自然環境もタバコの被害者なのです。
重要な数字
科学者たちは、喫煙、特にタバコの製造が地球の温暖化に加担し、様々な生態系を危険にさらしている、と考えています。タバコを栽培生産するには、葉を乾燥させる必要があります。乾燥に使われる技術では多くの場合、木を伐採、あるいはガスを使用し、葉を加熱乾燥するのに必要な熱エネルギーを生み出しています。いずれの方法も、大気中の二酸化炭素量を増加させるため、地球温暖化を助長してしまいます。しかし、影響を及ぼすのは栽培そのものだけではありません。最終的に製品として完成させるまでに、タバコに含まれる化学物質、箱の製造など、様々な過程があるのです。また、廃棄物として処理しなければならない吸殻のことも忘れてはならないでしょう。
タバコが環境に及ぼす影響を認識するための、いくつかの重要な数字を提示します:
まず前述したように、タバコの生産には収穫した葉を乾燥させるための材木が必要となりますが、さらにタバコの紙やフィルターの製造にも材木を使用します。1994年、タバコ経済学の専門家であるピーター・テイラーは、年間6000万本近くの木々を伐採し焼却していると見積り、しかもその数字にはここ何年も変化がないようです。さらに、マッチの製造に必要な森林伐採、すなわち約1,000万本の木も加えなければならないとすると、タバコ産業だけのために7000万本もの木々が伐採されていることになります!
また、タバコの栽培には肥料や農薬など、成長を促すための大量の化学物質が必要です。これらの物質は、市場に出回っているうち最も毒性の強いものです。動植物にはもちろん、ヒトや環境全般に危険なものです。タバコの煙を分析すると170種類以上の有害物質が発見されるのですが、その中には放射性物質も含まれています!専門家たちは、タバコを吸うよりも、原子力発電所の近くにいる方が、50倍も安全だと試算しました。驚くべき事実です!
その上に、毎年800トンもの吸殻が野放しになっていることを忘れてはいけません!環境を汚染するだけでなく(ちなみに浄化されるまで5年近くかかります)、動物たちを、誤飲、窒息、中毒による死の危険にさらします。
解決策
吸殻を回収して処分するコストの負担を減らすため、事業家たちは何らかの解決策を提案していますが、事はそう単純ではないようです。例として、フィルターに使用するセルロースアセテートをバイオ分解できるものに置き換えてはみたものの、今のところ、あまり成果は上がっていないようです。日本では、多くの自治体が路上喫煙のを禁止を実施していますが、地域や場所によっては、未だにポイ捨てされた吸殻を見ることも多々あります。
はたして、吸殻の影響を減らす具体的な解決策はあるのでしょうか?
吸殻の処理にかかる金銭的コストだけでなく、環境への影響の軽減を考えている都市では、すでに様々な解決策が実施されています。日本の都市はその最たる例でしょう。公道での喫煙の禁止、罰金制度、喫煙所の設置など、効果はかなり出ているようです。フランスのいくつかの都市でも、公道で吸殻を捨てる喫煙者への罰金を導入しています。実際の効果についての調査結果はまだ出ていませんが、回収された罰金は廃棄物処理のコストの一部に回されることになっています。サンフランシスコ市は廃棄物税を創設し、ゴミ処理にかかる費用を捻出するために、販売される1箱につき最大20セントの税を課しています。オーストラリアでは、啓発キャンペーンが実施されており、具体的な結果が得られているようです。
タバコのパッケージに記された危機感を刺激するメッセージ、タバコのフィルターの禁止、また、廃棄物処理のコストを製造企業に直接請求するなど、他にも多くの解決策が想定できるでしょう。